Lecture
社会保険の基礎
社会保険(健康保険・介護保険・年金保険)の基礎知識についてご案内いたします。
社会保険とは
社会保険には健康保険と厚生年金保険があります。
従業員を採用したとき
健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届
従業員を採用したとき、全員が社会保険に加入しなければいけないのでしょうか?
基準は時間です。会社の所定労働時間のおおむね4分の3以上の時間を働いている者は加入義務があります。例えば現在、1週40時間制ですので、4分の3は30時間ですが、「おおむね」の時間が社会保険調査官により微妙にからみ27時間であれば加入義務なしの判断がされることが多いようです。会社役員も同様な扱いになります。
提出期限:採用した日から5日以内
添付書類:年金手帳
健康保険被扶養者(異動)届
- 採用時に被扶養者がいるとき
- 被扶養者を有するようになったとき、又は有しなくなったとき
提出期限:異動のあった日から5日以内
添付書類:16歳以上の者は非課税証明書、在学証明書等、年金受給者は年金の金額が確認できるもの、同居要件の者は住民票等
住所が変更になったとき(扶養配偶者も含む)
厚生年金保険被保険者住所変更届
提出期限:速やかに
従業員が育児休業のとき
健康保険厚生年金保険育児休業者取得申出書
育児休業中の保険料が会社負担分を含め免除になります。
提出期限:育児休業を開始後、速やかに。
従業員が退職したとき
健康保険厚生年金保険被保険者資格喪失届
提出期限:資格を喪失(退職日の翌日)から5日以内
添付書類:健康保険被保険者証
資格喪失は、退職の他には年齢の要件の場合もあります。
- 健康保険:75歳
- 厚生年金:70歳
- 介護保険:65歳
健康保険保険給付
療養の給付
被保険者の傷病に関し、診察、薬剤、治療材料の支給、処理手術等、健康保険者証を提示することにより保険医療機関から給付されるもの
療養費
療養の給付が困難な場合(健康保険者証を持たずに治療、コルセット、輸血、やむを得ない保険医療機関以外の受診)の償還払いの給付
高額療養費
療養の給付などで支払った一部負担金が高額になったとき。治療費の補助です。
事前の手続により、病院による清算ができるようになりました。(健康保険限度額適用認定申請書)
傷病手当金
被保険者が療養のため労務不能になり、労務に就けないとき。休業4日目から支給され最長1年6ヶ月間(期間)支給されます。これは会社から給与が不支給もしくは一部減額のときの生活補助給付です。給付額は標準報酬日額の2/3です。
出産手当金
被保険者が出産により産前42日・産後56日の間で労務に就けないとき。給付額は標準報酬日額の2/3です。
出産育児一時金
被保険者が出産したとき一児につき42万円(平成21年10月1日より。但し、産科医療保障制度に未加入の医療機関では39万円)が支給されます。出産は病気ではないため療養の給付が受けられないための費用補助給付です。 平成21年10月1日より、医療機関によっては、保険者から医療機関への「直接支払い制度」が適用され、出産費用の窓口支払を軽減できるようになりました。
埋葬料(費)
被保険者が死亡したときに、5万円が支給されます。
家族の給付
家族療養費・家族出産育児一時金・家族埋葬費等があります。
厚生年金保険給付
老齢厚生年金
老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金に分かれます。
老齢基礎年金の支給要件は、
- 保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25年以上あること
- 65歳に達していること
である。その他、生年月日により経過措置(短縮措置)があります。
一方、老齢厚生年金の支給要件は、
- 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること
- 厚生年金保険期間の被保険者期間があること
- 65歳に達していること
である。
また、当分の間、一定要件に該当するときは特別支給の老齢厚生年金が支給されます。
障害厚生年金
障害年金にも障害基礎年金と障害厚生年金があります。 障害厚生年金は、疾病等の初診日において被保険者であった者が、その初診日から起算にて一年6ヶ月経過した日(又は症状が固定した日)に障害等級に該当する障害の状態にある場合で、且つ、初診日の前日において初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、保険料納付済期間と保険料免除期間の合算が当該被保険者期間の3分の2を満たしていることが必要です。
遺族年金
遺族厚生年金の支給要件は
- 被保険者が死亡したとき(失踪の宣告を含む)
- 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった期間に初診日のある傷病により、初診日から5年を経過する日前に死亡したとき
- 障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金受給者が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給者又は受給資格期間を満たしている者が死亡したとき
但し、1.2.は死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、保険料納付済期間と保険料免除期間の合算が当該被保険者期間の3分の2を満たしていることが必要です。 また受給できる遺族は、被保険者(であった者含む)の死亡当時その者によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母です。(一部年齢要件があります)